アーリーリタイアして永遠の夏休み

ここはアーリーリタイアを目指して資産運用に励んでいたおじさんが、勤務先の早期希望退職募集に応じて極楽生活に入り、さらなる黄金の人生を目指していく記録です。

2018年12月

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ねこねこです。

 毎月初めに自分の総金融資産額を算出しています。今回は元旦に計算したくないので12月30日に行いました。その結果運用により12月1日に比べて約72万円リスク資産(ETFや投信積立やアルゴリズム自動売買など)が下がっていることが分かりました。リスク資産の運用額は約740万円なのでリスク資産の-9.7%下がったわけです。12月の日米の下がり方を見れば数値は合います。

すでに書きましたようにねこねこは来年1月末で勤務先を退職し無職となります。当面は雇用保険の基本手当(いわゆる通常の失業給付)を貰いながら、勤務先が契約した転職支援を利用して再就職先をさがします。

年末に大きな下げを経験した上にさらに近々無職になるわけですが、来年2019年の投資スタンスは基本的にはいままでとは変わらず、インデックス投資を中心にIPOを続けます。もともと定年まで勤めたのちも投資スタンスは変えないつもりでした。ポートフォリオ理論でも年齢と投資スタンスに合理的な相関はなく『投資に年をとらせる必要はない』といわれています。経験上も一旦投資を止めると再開の切っ掛けが掴めなくなります。これも以前に書いた投信積立を止めて儲けそこなった経験からです。


 SBI証券で iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF (HDV)をバイ&ホールドしています。この1カ月で急落し若干戻っています。米ドルを少し残しておいたので買い増ししました。

SBI HDV


 楽天証券のNISAで投信積立を行っています。ニッセイ国内債券インデックスファンドは以前に書きましたが積立を中止していました。債券ファンドはマイナスになることが多く分散なら個人向国債があるので、そちらにシフトしたのです。積立は止めましたが売らずにそのまま持っていました。

このところその価格が急上昇して損益がプラスに転じました。もとよりリスク分散のために株式とは値動きが逆になる債権を買っていたので当然なのですが、こんなに急上昇すると驚きます。日本は財政赤字が膨らんで破綻するするとずいぶん昔から言われていますが、国債の金利は低いままでした。国債金利の上昇は金融破綻の前兆と言われています。国債金利と債券ファンドは別なものですが関連はありますから気になります。

ニッセイ国内債券インデックスファンド

最後になりましたが年末までお付き合いいただきありがとうございました。2019年が皆様にとっても良い年でありますことを祈念いたします。来年の投稿はいつからにするかは未定です。






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ねこねこです。

もう一本日産関連です。
以下Japan Business Pressから転載

特別背任でゴーン氏再逮捕、特捜部が賭けに出た事情
得意の捜査手法を否定され、選択肢は他になかった
2018.12.28(金) 須田 慎一郎

日本中、いや世界中を驚かせた日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン氏の逮捕。だが、「巨悪」を逮捕したはずの東京地検特捜部が描いていたシナリオは次々と変更を余儀なくされており、捜査の行方は予断を許さなくなってきた。

 まずこれまでの捜査の経緯をざっと振り返っておこう。

 11月19日、東京地検特捜部が2015年3月までのゴーン氏の報酬について、有価証券報告書におよそ50億円分を過少に記載していたとして、金融商品取引法違反の容疑でゴーン氏と日産代表取締役のグレッグ・ケリー氏を逮捕。11月22日に、日産は取締役会を開いてゴーン氏の会長解任を決定。もっとも株主総会の開催はできず、ゴーン氏は日産の取締役にとどまるという状況が続く。

 11月30日に東京地裁は、地検の請求を受け、ゴーン氏の勾留延長を決定。その勾留期限となる12月10日、地検はゴーン、ケリー両氏を起訴し、さらに今度は2018年3月までの報酬約40億円分を過少記載していたとして2人の再逮捕に踏み切る。

特捜部にとって誤算続きの捜査

 10日間の勾留期限が迫った12月20日、地検はさらに10日間の勾留延長を裁判所に対して求めたところ、地検の意に反して、東京地裁がこれを認めなかったため、「ゴーン氏保釈」の可能性が一気に高まり、マスコミは一斉にざわめいた。同時に、ゴーン氏らを長期に勾留してきたことで国際的にも批判を浴びていた東京地検は、その捜査手法を裁判所にまで否定されたことで、極めて苦しい立場に追い込まれてしまった。

 翌12月21日、「ゴーン氏、今日にも保釈」と報じられる中、その瞬間をとらえようと、小菅の東京拘置所前には早朝からカメラマンが待機していたわけだが、そこに「東京地検、ゴーン氏らを特別背任の容疑で再逮捕」の一報が流れる。保釈どころか、ゴーン氏は再び特捜部の取り調べを受けなければならない立場となり、そしてカメラマンたちが待ち望んだ「保釈直後の画」はお預けとなった。

 それでも、25日にはケリー氏のみが保釈され、そのまま茨城県内の病院に入院した。

 これがこれまでの大まかな流れだ。ゴーン氏を特別背任の容疑で再逮捕したことで、特捜部はかろうじて体制を立て直すチャンスを握ったが、その前段として裁判所が勾留延長を認めなかったことは大きな誤算だったことは間違いない。

 これまでこういうケースでは間違いなく認められてきたので、今回も「当然ながら裁判所は、一も二もなく認めてくるだろう」と考えていたんだろうと思う。

 今回のゴーン氏らに対する捜査は、特捜部にとって誤算続きの捜査と言っていい。というのも、彼らの捜査の手法が、かつて特捜部が世の喝さいを浴びた昭和の時代スタイルを踏襲しているからだ。実はこれは完全に時代遅れのスタイルになってしまっていることに、特捜部は気づいていないのだ。

 そもそも特捜部の主な役割は、国会議員や都道府県知事クラスの大物政治家の疑惑を解明すること、大企業の経営トップが絡む経済事案を摘発すること、そしてキャリア官僚の疑惑を追及すること。つまり政治家、財界人、高級官僚が絡む「巨悪」の摘発が特捜部の捜査の目的だ。

 その意味では、日産の経営トップであるゴーン会長が関わる犯罪であれば、特捜部が手掛ける事案にふさわしい案件と言える。しかし、相手は日産の筆頭株主・仏ルノーというグローバル企業の会長も兼任する人物。捜査の動向は世界的にも注目を集めるし、その進め方によっては外交問題にもなりかねない。

通用しなくなった記者クラブを通じたメディア操縦術

 ところが特捜部のやり方は、従来の手法と何ら変わっていなかった。「従来の手法」とはこういうことだ。

 まず有無を言わさず逮捕し、彼らが筋読みして組み立てた事件のストーリーに沿って取り調べを進めていく。同時に、世論を味方につけていくことも忘れない。「こんなにとんでもないヤツは捕まって当然だ」「ぜひ有罪に持ち込んでくれ」といった世論の後押しを受ける形で捜査を進めていくのだ。「巨悪に挑む正義の捜査機関」というイメージ作りが成功してきたからこそ、少々強引さがあっても、無理筋の事件の捜査であっても、許されてきた。その側面は否めない。

 このイメージ作りの主要なツールになったのが、「情報統制」だ。捜査に関する情報は特捜部が厳重に管理する。特捜部が関与しない形で情報をすっぱ抜くマスコミについては「出入り禁止」という強権的な手法を用い、逆らえないようにする。その一方で、友好的な社や記者に対しては情報を小出しにリークしてやり、それを通じて世論を一定方向に導いていったのだ。記者たちにしても、検察の幹部に食い込んでリーク情報にありつければ、他社を出し抜くことが出来るので、「利用されている」と分かっていながらも拒むことは難しい。

 今回の捜査で、特捜部は朝日新聞とタッグを組んだ。その証拠に、11月19日に特捜部が、羽田空港にプライベートジェットで帰ってきたゴーン氏の身柄を取った瞬間に現場に居合わせたマスコミは朝日新聞だけだったのだ。その後もこの件では朝日が特ダネを抜き続けた。多少なりとも検察の動き方を知っている記者だったら「今回の事件では、特捜部は朝日と手を組んで、世論をリードしていくつもりなんだ」と感じたはずだ。

 ところがこうした手法がまだ通用すると思っていたのは、特捜部の誤算だった。

 ますこの手法は日本国内では通用する手法であっても、グローバルスタンダードの中では、異質、あるいは許されない捜査手法なのだ。実際、ゴーン氏逮捕から勾留延長、再逮捕といった行為が、海外から厳しい批判を浴びていた。

 もう1つの誤算は、昭和の時代と違って、特捜部を取材するのは日本のメディアだけではなくなっているという点だった。記者クラブに加盟していない海外メディアもあれば、インターネットメディアも増えている。特捜部全盛時代には、全国紙やテレビ局などの記者クラブ加盟メディアを、情報とのバーターでコントロール下においておけたが、現在は記者クラブ外のメディアの存在感が急速に大きくなっている。そこを特捜部は正確に評価できていなかった。

 そうした中で、ゴーン氏の捜査に対して批判的な報道が増えていった。裁判所には、これが相当なプレッシャーになった。「従来の慣行だから」という理由だけでゴーン氏の勾留延長を認めれば、今度は裁判所、ひいては日本の司法制度全体が国際世論の批判を浴びかねない。裁判所の求めは法的に瑕疵のない形であることはもちろん、グローバルスタンダードに配慮した形で対応するような方向へスタンスを変えていった。それが特捜部の見込み違いだった。

 特捜部の捜査手法は、言ってみればよく批判される「人質司法」である。政治家、経営者、官僚などという種類の人物は、たとえ「巨悪」などと呼ばれたとしても、逮捕され拘置所という閉鎖空間に長期間勾留されるだけで、人生が終わったような感覚に襲われてしまうのが常だ。「順風満帆だった俺の人生、これでお終いだ」と失意の底に落とされ、結果的に特捜部の手に落ちていく。つまり、特捜部の意のままの供述をしたりすることになってしまうものなのだ。

 ところが、報道を見る限り、ゴーン氏は特捜部がぶつける容疑事実にことごとく反論しているという。精神的にタフなのだろう。そこも特捜部の見込み違いだった。しかも勾留延長を裁判所が認めてくれなかったことで、特捜部の目論見は決定的に狂ってしまった。

 特捜部に残された手段は、この事件の「本線」である特別背任の捜査に着手することしかなかった。そもそも、ルノー・日産・三菱自動車という巨大企業連合のトップを逮捕するのに、形式犯ともいえる「有価証券報告書虚偽記載」だけでは釣り合わない。必ず批判に晒される。だからこそ特捜部は、「有価証券報告書虚偽記載」の先には、特別背任、あるいは業務上横領という「これなら逮捕されても仕方がない」と誰もが納得するような「本線」の事件につなげるつもりがあるものと見られていた。

 つまり有価証券報告書の虚偽記載は、あくまで捜査の入り口で、その後の本線につなげていくための端緒とも言える捜査だ。ところが本線に繋げる前に、容疑者が保釈されてしまえば、そこで捜査が途切れてしまう可能性が大だ。だから特捜部は慌て、急遽、「特別背任での再逮捕」というシナリオを書き上げたのだ。

特別背任の成立に必須の「3つの要件」

 だから、言ってみれば「特別背任で再逮捕」ということは当初から予定していたことなのだが、今回の一件は、単にそのスケジュールが早まっただけ、というわけではない。

 どういうことか。特別背任というのは実は立件がかなり難しい案件になる。有罪に持ち込むためには、3つの構成要件が必要になるのだ。

 1つは、会社における地位・身分だ。つまりは、会社の経営幹部である、ということだ。平社員や外部の第三者が会社に損害を与えても、それは特別背任には当たらない。社長や会長、上層部の役員などの身分が必要なのだ。これについてはゴーン氏は十分に用件を満たしていると言って差し支えない。

 2点目は損害額の確定だ。いくら損害が発生したのか、その金額を確定させなくてはいけないわけだ。算定の仕方にもよるだろうが、これも特捜部にとっては難しくはないだろう。

 そして3点目が、高い地位にある人物が、その行為をすることで、会社に損害が発生することが十分に予見できていた、あるいは会社に損害を与えることを目的としたその行為をした、といった、ある種の「悪意」の存在だ。

 これは何か客観的事実があるわけではない。容疑者の心象風景がどうなっていたか、の問題なので、これを捜査機関が証明するのは非常に難しい。

「そんなことは予想していませんでした。たまたまこれをやったら会社に損害を与えちゃったのです。はじめからそんな意図はありませんでした」と主張されてしまえば、特別背任は成立しないのだ。

 実は、特別背任の公判廷で争われているのはほとんどがこの3番目の部分だ。それほどここを立証するのは難しい。

 特捜部はこれまで、再逮捕を繰り返していく中で、容疑者をある種の絶望感に陥れ、そこから特捜部の意のままの供述を得ていくことで、この難関を乗り越えてきた。

 ところが、今後、勾留延長で「引っ張れるだけ引っ張る」という手法は使えなくなる可能性が高くなった。世論の強い後押しも期待できない。海外からの批判もある。

 それでも特捜部には、特別背任で再逮捕するしか道は残されていなかった。これから、準備期間も十分とは言えない中で、特別背任の立件に臨まなければならない。タフなゴーン氏を相手に、悪意の立証が出来るかどうか。特捜部が置かれた状況を眺めると、極めて厳しいのではないだろうか。

 特捜部が何とか特別背任で起訴し、有罪を立証できれば、「巨悪」を摘発した正義の捜査機関として再び名声を取り戻せるかもしれない。しかし起訴できなかったり有罪を立証できなかったりすれば、国内外から批判の集中砲火を浴び、計り知れないダメージを受けるだろう。ゴーン氏からの反撃があるかもしれない。

 誤算続きなのは日産も一緒だ。

 捜査の入り口となった有価証券報告書虚偽記載では、直近3年分の虚偽記載分に関しては、ゴーン氏が退任後に報酬を受け取ることが書かれた覚書に西川社長がサインしていることも明らかになった。これで「西川社長も共犯ではないか」という声が上がってきた。

 最初から特別背任や横領の容疑で捜査を進めてもらい、「ゴーン氏はとんでもない人物だった」という印象を世の中に広めて、日産の経営トップから引きずり下ろすことを目論んでいた日産も、法人として虚偽記載で起訴され、無傷でいることが難しくなってきた。

 これで特捜部がゴーン氏の特別背任を立件できないことになると、西川社長も日産も大きなしっぺ返しを食らわされる可能性がある。

 ゴーン氏の勾留期限は1月1日にやってくる。そこで勾留延長は認められるのか。そしてゴーン氏の捜査はどのような着地点を見せるのか。2019年年明けから、その行方を世界が凝視している。

以上転載終わり

グローバルスタンダードが変わったことに気付かず窮地に陥るなんて、まるで戦前の日本が帝国主義が時代遅れになったことに気付かずに窮地に陥ったのと同じですね。ヒトもヒトの集団もなかなか変われないもんですね。


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ねこねこです。

この記事の内容が正しいとしたらエライことですね。
以下Japan Business Pressから転載

日産の損失はゼロ、ゴーン氏は特別背任にあたらない
細野祐二氏が為替レートの変化からゴーン氏の運用実態を分析
2018.12.29(土) 細野 祐二

「止む無く」特別背任で逮捕

 12月21日、東京地検特捜部は、カルロス・ゴーン元日産自動車会長を会社法の特別背任罪容疑で再逮捕した。ゴーン元会長の逮捕は、11月19日の(2011年3月期から2015年3月期までの5事業年度の)役員報酬48億円の不記載に係る有価証券報告書虚偽記載罪容疑での1回目の逮捕、12月10日の(2016年3月期から2018年3月期までの3事業年度の)役員報酬42億円の不記載に係る有価証券報告書虚偽記載罪容疑での2回目の逮捕に続く3回目である。

 東京地検特捜部は、12月10日の2回目の逮捕にともなう10日間の勾留期間が12月20日に勾留満期となったため、慣例に従い、当然のことのようにさらに10日間の勾留延長を請求したところ、東京地方裁判所は「前の事件と争点及び証拠が重なる」として勾留延長を却下した。この日、ゴーン会長は保釈される可能性が高かったのである。止む無く、東京地検特捜部は、急遽ゴーン元会長の特別背任罪での逮捕に踏み切った。これを受けて、東京地裁は、12月23日、ゴーン会長の10日間の勾留を決定した。新たな勾留期限は2019年1月1日となり、ゴーン元会長は2019年の元旦を東京拘置所で迎えることが確定した。

SEC、新日本監査法人が事前に問題指摘

 現時点までに新聞報道等で明らかとなったゴーン元会長に対する特別背任容疑の概要は次の通りである。

 ゴーン元会長は、2006年以来、個人金融資産の管理運営を新生銀行に委託していたところ、2008年10月、リーマンショックに伴う急激な円高により、自身の資産管理会社が新生銀行と締結していた通貨スワップ契約に巨額の損失を抱えることになった。この含み損に対して、新生銀行が担保不足による追加担保の提供を要請したところ、ゴーン元会長はこれを拒否し、契約自体を日産に付け替えるよう指示した。

 新生銀行側は、日産への契約移転には取締役会の決議が必要と指摘し、これを受けて、ゴーン元会長の意を受けた当時の秘書室長は、損失付け替えの具体的な内容については明らかにせず、「外国人の役員報酬を外貨に換える投資」について秘書室長に権限を与えるという形をとって取締役会の承認決議を得た。この取締役会の決議を受けて、新生銀行は契約移転に応じることとし、2008年10月、約18億5000万円の評価損を含む通貨スワップ契約は日産自動車に移転された。これが特別背任における第一の逮捕容疑である。ちなみに、この時の秘書室長は、今回の日産カルロス・ゴーン事件の内部通報者で、東京地検特捜部と司法取引で合意することにより刑事処分の減免を受けている。

 ところで、その後、証券取引等監視委員会は、新生銀行の関連会社に対する検査を通じてゴーン元会長の損失付け替えを把握し、「本件での日産自動車側取締役会決議にはコンプライアンス上の重大な問題がある」として是正を求めた。また、同じころ、日産の会計監査人である新日本監査法人も、会計監査の過程で本件損失付け替えを把握し、「会社が負担すべき損失ではなく、背任にあたる可能性もある」と日産側に指摘した。

「日産の損失はなく、背任には当たらない」

 外部からの相次ぐ指摘を受けて、ゴーン元会長は本件通貨スワップ契約を自身の資産管理会社に再移転することにした。この際、巨額の評価損に対応する追加担保が必要になったが、サウジアラビアの知人が外資系銀行発行の約30億円分の「信用状」を新生銀行に差し入れたため、ゴーン元会長は追加担保の提供を免れることができた。外資系銀行より信用状を発行してもらうためには、通常は保証額の数%の保証料を支払う必要があるが、本件では、知人がこの保証料を負担していたとみられる。

 その後、ゴーン元会長は、この知人が経営する会社の預金口座に、中東での販促などを担当しているアラブ首長国連邦の子会社「中東日産会社」の口座から、2009年6月から2012年3月にかけて、3~4億円ずつ全4回にわたり合計1470万ドル(約16億円)を販売促進費名目で振り込ませた。資金は、「CEO Reserve」と呼ばれる日産の最高経営責任者直轄の費用枠から捻出されている。これが特別背任における第二の逮捕容疑である。

 ゴーン元会長は、損失付け替えについては、結果的に契約を再移転していることなどから、「日産の損失はなく、背任には当たらない」と主張。また、知人への支払は、サウジアラビア政府や王族へのロビー活動あるいは現地販売店と日産との間で生じていた深刻なトラブルの解決の協力など「日産のための仕事をしてもらっていた」と説明し、正当な業務の対価だったと主張している。

ゴーン氏が結んだ通貨スワップ契約とは

 ゴーン元会長の特別背任容疑の原点は、個人資産管理会社が新生銀行と締結していた通貨スワップ契約にある。通貨スワップ契約とは、元来は、特定の外貨を直物で買う(売る)と同時に同額の外貨を先物で売る(買う)一対の外貨契約のことをいうが、現在では、将来の外貨でのキャッシュフローを交換する取引として広く定義されている。

通貨スワップ契約は直物外貨と先物外貨の交換取引なので、それ自体としては損益を生むことがないが、外国為替の直物レートと先物レートは同一とはならないので、直物で買った(売った)外貨がそれと同額の先物で売れる(買える)というわけではない。直物レートと先物レートに差が生じるのは、外国為替が、直物と先物のスプレッドにより、それぞれの通貨の金利差を調整しているためである。直物と先物の外貨交換差額を狙った金融取引が通貨スワップ契約となる。

 さて、リーマンショックの起きた2008年9月以前の外国為替市場において、米ドルの為替レートは1ドル=108円程度で、米ドルの1年物金利は3%程度、日本円の1年金利はほぼ0%で均衡していた。この均衡条件で1年先物の理論レートを計算すると、米ドルの1年先物レートは次の通り1ドルが104円85銭となる。

直物レート108円÷{1米ドル×(1+金利3%)}=先物レート104円85銭

 2005年から2007年にかけての米ドルの先物外国為替レートは、日米の金利差を反映して、米ドルの先物が大幅なディスカウントとなっていた。このような市場環境の下で、米ドルの先物買いとなる通貨スワップ契約を締結すれば、契約者は、外国為替レートが円高にならない限り、日米金利差3%の運用利益を得ることができる。ここで標準的な通貨スワップとして100万ドルの運用事例を例示すると次の通りとなる。

①契約締結時(先物レート1ドル=104円85銭)

(借方)デリバティブ債権 $1,030,000

(貸方)デリバティブ債務 ¥108,000,000

②決済時(直物レート1ドル=108円)

(借方)デリバティブ債権 ¥111,240,000

(貸方)デリバティブ債務 $1,030,000

③運用益

 円建てデリバティブ債権¥111,240,000
  -円建てデリバティブ債務¥108,000,000
   =運用益¥3,240,000

 運用利回り3%=運用益¥3,240,000÷想定元本¥108,000,000

 この時代、外資系金融機関を中心に通貨スワップ契約を組み込んだ金融商品が数多く開発され、高額所得・資産の富裕層に対して積極的に販売されていった。この手の通貨スワップ内蔵型金融商品は、顧客から預かる一定の証拠金にレバレッジを効かして、その数倍の通貨スワップ契約を締結する形態となっている。もとより、通貨スワップ契約は、外国為替における直先スプレッドを運用益として固定する代わりに、為替レートの変動リスクを取る金融取引なので、それにレバレッジがかかれば、為替変動リスクは通常の為替変動リスクの数倍に膨れ上がる。ゴーン元会長が嵌った通貨スワップ契約は、この手の為替リスクの高い金融商品だったに違いない。

為替レートの変化から運用実態を分析すると・・・

 2008年9月のリーマンショックにより、安全通貨とされる日本円への資金逃避が起き、ドル円レートは2008年9月の108円から2009年2月の89円まで一気に19円幅(17.6%)の円高となった。ゴーン元会長の通貨スワップ契約は約18億5000万円もの評価損を抱えることになったというのであるから、その想定元本は少なくとも105億円(=18億5000万円÷17.6%)以上でなければならない。

 この通貨スワップ契約に対してゴーン元会長が差し入れていた証拠金の額は不明ではあるが、ここで一般的な適正レバレッジを3倍と考えると、ゴーン会長に求められる必要証拠金は35億円(=105億円÷3倍)ということになる。おそらくゴーン会長はこの通貨スワップ契約に対していくばくかの証拠金を差し入れていたのであろうが、これがリーマンショックにより18憶5000万円の評価損となったので、追証が発生したのである。

新生銀行はゴーン会長に追加証拠金の拠出を求めたものの、ゴーン会長はそれを拒否し、契約自体を日産に付け替えることにした。契約当事者が日産自動車ということであれば、証拠金の不足があろうが決済不能などあり得ないので、新生銀行に否やはない。こうして、本件通貨スワップ契約は18億5000万円の評価損のまま日産に付け替えられたが、その時の会計仕訳は次のようなものとなる。

(借方)デリバティブ債権 $97,222,222

 (貸方)デリバティブ債務 ¥10,500,000,000

 想定元本105億円÷契約時レート108円=97,222,222米ドル

本件通貨スワップ契約の日産への付替えは2008年10月のこととされているが、その時の会計処理では、ここで発生していたとされる18億5000万円の評価損は認識されることはない。通貨スワップ契約の含み損が認識されるためには、日産自動車の決算期における会計処理を待たなくてはならない。日産自動車の2009年3月期末において本件通貨スワップが未決済となっていた場合、次の決算整理仕訳が必要とされる。

(借方)デリバティブ債権  ¥8,652,777,758
    デリバティブ評価損 ¥1,847,222,242

(貸方)デリバティブ債権 $97,222,222

 ドル債権$97,222,222×直物レート89円=円債権¥8,652,777,758

日産は形式上も実質上も損失を認識できなかった

 本件通貨スワップ契約は2009年1月にはゴーン元会長の資産管理会社に再移転されたという。ならば、日産自動車は、評価損を認識すべき2009年3月期末を迎えることなく通貨スワップ契約を再移転したのであるから、その受入から再移転までの全ての期間において、18億5000万円の評価損を一切認識しておらず、認識するすべもなかったのである。ゴーン会長は、本件スワップ契約の付け替えにつき、「日産に実損はない」と抗弁しているとのことであるが、事実は、実損がなかったどころか、形式上も実質上も日産には一切の損失が認識できなかったのである。

 会社法は、第960条により、会社の取締役が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定している。ゴーン元会長に特別背任罪が成立するためには、日産に財産上の損害が認定できなくてはならず、要するに、ゴーン元会長の特別背任容疑における第一の犯罪事実は存在しない。

「サウジの知人」ハリド・ジュファリ氏

 さらにここに登場するのが、サウジアラビアの知人ハリド・ジュファリ氏である。ハリド・ジュファリ氏は、サウジアラビアの財閥「ジュファリ・グループ」の創業家出身で、サウジアラビア有数の複合企業「E・Aジュファリ・アンド・ブラザーズ」の副会長のほか、同国の中央銀行理事も務めている。ジュファリ氏が経営する会社は、2008年10月、アラブ首長国連邦に日産との合弁企業「日産ガルフ」を設立し、ジュファリ氏はその会長に就任している。「日産ガルフ」は、日産の中東市場の販売・マーケティング業務をサポートする目的で設立されている。

 ジュファリ氏は、新生銀行から追証を求められ苦境にあるゴーン元会長を救済するため、自らの資金約30億円分を外資系銀行に預け入れ、その預金を裏付けとして約30億円分の銀行信用状を発行させた。この信用状はゴーン元会長を経由して新生銀行に差し入れられ、通貨スワップ契約は無事に日産からゴーン元会長の資産管理会社に再移転された。これが2009年1月のことである。

 その後、ジュファリ氏の個人口座には、2009年6月から2012年3月にかけて、「中東日産会社」の口座から、3~4億円ずつ全4回にわたり合計1470万ドル(約16億円)の金が販売促進費名目で振り込まれている。東京地検特捜部は、この金を、ジュファリ氏が行った信用保証の謝礼金だと言うのである。

一般に、銀行が信用保証状を発行するには、保証額の数%の保証料を徴収する。本件の場合、この保証料はジュファリ氏が負担していたとされているが、その保証料なるものは、仮に保証料率を3%と想定しても、年額9000万円程度のものに過ぎない。しかも、結果的に、ジュファリ氏が外資系銀行に供託した30億円は手付かずで保全されている。ゴーン氏がジュファリ氏の負担した数千万円のために約16億円もの謝礼金を払うというのは、およそ経済合理性に反する。しかも、ジュファリ氏は、事実として、日産の中東市場の販売・マーケティング業務をサポートする目的で設立された「日産ガルフ」の会長であった。ゴーン元会長は、「知人への支払は、サウジアラビア政府や王族へのロビー活動あるいは現地販売店と日産との間で生じていた深刻なトラブルの解決の協力など日産のための仕事をしてもらっていた」と抗弁するが、その抗弁は客観的事実に裏付けられている。これをもって特別背任などと主張するのはおよそ馬鹿げており、ゴーン元会長の特別背任容疑における第二の犯罪事実は成立しない。

 東京地検特捜部もよくこんなもので逮捕請求ができたものだと感心するが、ここで第一の犯罪事実及び第二の犯罪事実の証拠構造を冷静に分析すると、ゴーン元会長の特別背任容疑には、元秘書室長の提供する内部情報とその証言以外にろくな証拠などないことが分かる。この人は、司法取引に応じることにより刑事処分を免れているので、東京地検特捜部の求めるどのような供述調書にも喜んで署名する。元秘書室長は東京地検特捜部の唯一の頼みの綱ということになるが、この人の証言の証拠価値は低い。元秘書室長の証言など、ハリド・ジュファリ氏の証言が出れば、一発で撃沈するからである。

 元秘書室長との司法取引は、日産ゴーン事件における東京地検特捜部の失敗の本質でもある。なぜなら、ゴーン元会長がジュファリ氏に対する販売促進費の支払をもって特別背任とされる以上、ジュファリ氏はゴーン元会長の特別背任事件における共同正犯になってしまうからである。

 東京地検特捜部は、ゴーン元会長の有価証券報告書虚偽記載罪での逮捕長期勾留により、フランス政府、ブラジル政府、ヨルダン政府を敵に回したが、今回の特別背任罪での逮捕によりサウジアラビア政府さえも敵に回すことになった。

 この人たちのやっていることは、自らの組織の保身のために、我が国の国益に反する外交問題を引き起こしているのである。事件は、全3回に及ぶ長期勾留によりゴーン元会長が追い詰められているように見えるかも知れないが、事実は全く逆で、瀬戸際まで追い詰められているのはむしろ東京地検特捜部なのである。東京地検特捜部並びに東京地裁は、本件が世界のジャーナリズムの監視の下、グロ―バル世論の下で進行していることを忘れてはならない。

転載終わり

この件は日産で起きたクーデターなんでしょうが、ゴーン氏逮捕後に所管の通産省ではなく官房に日産幹部が説明にいったり、司法取引の適正さが問題になったり、気になることが多いですね。日産をフランスに獲られるのがイヤで日本政府と日産が絵図を描いて東京地検特捜部が逮捕した。しかも実は無罪だったなんてことになったらどうなるのか?



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ねこねこです。

 昨日の朝礼で明らかになったのですが、ねこねこが所属する部署では対象者(年齢と勤続年数に決まりがあり全員が対象ではありません)のうちひとりを除いて全員が募集に応じておりました。ちょっと驚きました。残された者の業務量が凄い事になりそうです。うっかり断らなくて良かったです。まだ1カ月ありますが、今後上司も異動したり、人員を組み替えたり大変そうです。

勤務先が契約した社会保険労務士事務所から自宅に以下の書類が届いていました。何しろ年末年始を挟みますから実質1カ月しかありません。手続きを急がないといけませんね。

①秘密保持に関する誓約書
退職後に情報を漏らさないという誓約書にサインが必要です。漏らしたために勤務先が損害を被れば損害賠償請求を行うと書かれていました。

②退職同意書
同意書です。これは必要ですね。

③退職所得の申告書
退職所得は控除が大きいので所得税は少なくて済みますが、この軽減措置を受けるためには『退職所得の申告書』が必要なのです。

④従業員持ち株会
勤務先の株式を持ち株会を介して持っていました。だいぶ前に売却したのですが端株が残っていたのでそれを売却する指示書です。

⑤企業年金
某保険会社で企業年金の積立を行っていましたので、それを年金にするか一時金で受け取るか決める必要があります。一時金を選択した場合でも一部は年金にしなくてはならない決まりだそうです。これは年金を受け取る年齢になったら改めて請求することになるのですが、結構先のことなので忘れてはいけませんね。

年金か一時金かの選択は将来の税率を考えて決めようと思います。年金の方が税率は低いです。ただし今は低いだけです。将来税率が上がればいま一時金で受け取ったほうが手取り額が多くなることも考えられます。

⑥返却物確認書
勤務先に返却する物の一覧と期限です。勤務先のカードキーや社員証は退職日まで必要ですね。

今後はレターパックで社会保険労務士事務所から書類を受け取ったり送ったりすることになるそうです。粛々と退職の手続きがすすんで実感が湧いてきました。

では、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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ねこねこです。

 本日、今年最後のIPO(リンクとベルトラ)が上場しました。これで2018年のIPO損益を算出できます。表は2016年にIPOを初めてからの損益も併せて示しました。初値上昇率は公募価格に対して初値の上昇した価格を公募価格で割ったものをパーセントで示しました。

IPO損益3年間

 2018年に当選したIPOは6社で、総損益は+122957円でした。公開株数から見た当たりやすさは『普通の当たりやすさ』から『非常にあたりやすい』まで、総合評価はCからDまででした。つまり公開株数が多く、評価は低いものしか当たっていません。一番利益が大きかったのはSERIOホールディングスの178000円でした。これは上場前に相場が弱気に転換したことに加え、仮条件の上限が想定価格にとどまったことを踏まえて、初値予想と総合評価を「B」から「C」へ引き下げられました。しかし上場してみると案外騰がった銘柄でした。評価が下がった分当たりやすくなり、思ったより利益がでたと思われます。残念なのはねこねこはSERIOホールディングスを初値売りしていません。初値売りなら23万円以上の損益だったのですが、欲が出て値動きを見てもっと儲けようとしてしまいました。これには理由があります。SERIOホールディングスの前のザイマトリックス・リート投資法人は初値-0.95%ですが大引け寸前まで粘って+2406円の損益を得ていました。このことが影響してしまったのです。『初値で売るか否か』はIPO投資をするうえで永遠のテーマですね。

3年間を通して証券会社別にみると最も当選が多いのは3回のみずほ証券ですが、損益は33622円に留まります。これは今年の自律制御システム研究所の公募割れが大きく影響しています。SMBC日興証券は同数3回の当選ですが3回とも公募割れしています。最も損益が良かったのは野村ネット&コールの167376円、LIXILビバが騰がっていれば完璧でした。ダークホースは松井証券2回しか当たりませんがいずれも儲けが出ています。松井証券は資金0円で申し込みできるようになったことですし、今後もよろしくお願いしたいものです。SBI証券、マネックス証券、大和証券、岡三オンライン証券は1回しか当たらずしかもすべてが公募割れで、ねこねことは相性がよろしくないようです。

ここで書いたのはあくまでもねこねこの成績から見た証券会社の”印象”に過ぎません。サンプル数も少なく、年の暮れのお遊びと思ってください。

これで2018年のねこねこのIPO投資は締めとなります。では、最後まで読んでくださってありがとうございました。

松井証券の魅力、まずはお試しください。




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